ライブサウンドの基盤を支えるREAC技術の要
Roland S-4000Dは、ローランドが独自に開発したデジタル・オーディオ伝送規格「REAC」システムの中核を担う専用スプリッターおよびディストリビューターです。現代のプロフェッショナルなライブサウンドや放送現場において、多チャンネルのオーディオ信号を劣化なく長距離伝送することは不可欠な要件となっています。本機は、この高度なルーティングと信号分配を極めてシンプルな結線で実現するために設計されました。アナログのマルチケーブルが抱えていたノイズや重量、設営の手間といった物理的な制約を排除し、デジタルネットワークの恩恵を最大限に引き出すインフラとして機能します。
パーソナル・ミキシング環境の構築を容易に
本製品が解決する最大の課題は、ステージ上のミュージシャン一人ひとりに最適なモニター環境を提供する「パーソナル・ミキシング・システム」の構築に伴う複雑さの解消です。従来のシステムでは、音声信号の分配と各機材への電源供給を別々のケーブルで行う必要があり、ステージ上が煩雑になる原因となっていました。本機は、信号と電源を1本のLANケーブルで同時に供給できる画期的な仕組みを取り入れることで、この問題を根本から解決します。これにより、機材のセットアップ時間が大幅に短縮され、安全性と美観の両方が向上します。
堅牢性と信頼性を追求したハードウェア設計
プロの過酷な現場で求められるのは、いかなる状況でもシステムがダウンしない絶対的な信頼性です。本機は、頻繁な機材の移動やハードな使用に耐えうるよう、コネクタ部分に堅牢なEtherCon端子を採用しています。これにより、ケーブルの抜け落ちや接触不良といったトラブルを未然に防ぎます。また、ラックマウントに対応した堅牢な金属筐体は、外部からの物理的な衝撃や電磁ノイズから内部回路を確実に保護し、常に安定したパフォーマンスを約束します。
柔軟なシステム拡張を可能にする分配能力
大規模なコンサートやイベントでは、メインスピーカーへの出力だけでなく、録音機材や放送用システムなど、複数の宛先へ同じオーディオ信号を分岐させる必要があります。本機は、入力されたREAC信号を複数のポートへ同時に分配する能力を備えており、システムの規模に応じた柔軟な拡張を可能にします。マスターコンソールからの信号を分岐させることで、FOH(フロント・オブ・ハウス)、モニター、レコーディングの各セクションが独立して作業できる環境を、複雑なネットワーク設定なしに構築できます。
既存のインフラを活かした効率的な運用
独自のネットワーク技術を採用しながらも、伝送用の物理的なケーブルには汎用性の高いCat5eイーサネットケーブルを使用できる点も、本機の大きな特徴です。これにより、専用の特殊なケーブルを用意するコストを抑えつつ、既存のITインフラや汎用のLANケーブルを流用した効率的なシステム構築が可能になります。音響システム全体のデジタル化を推進し、高品質なサウンドと運用効率の向上を両立させる本製品は、次世代のオーディオ・ネットワークを構築するための確固たる基盤を提供します。
Q: M-48パーソナルミキサーの使用に本機は必須ですか?
A: M-48を単体で使用する場合は付属のACアダプターで駆動可能ですが、複数台のM-48をリンクさせたり、LANケーブル1本で音声と電源を同時供給したい場合には、本機がシステム上必須となります。
Q: DanteやAVBなど、他のオーディオネットワーク規格と互換性はありますか?
A: いいえ、本機はローランド独自の「REAC」規格専用のディストリビューターです。Dante等の他規格の機器と直接接続することはできず、変換には別途ブリッジ機器が必要です。
Q: レンタルセットにはLANケーブルは含まれますか?
A: 基本のレンタルセットにはS-4000D本体と電源ケーブルのみが含まれます。機器同士を接続するためのCat5e規格以上のLANケーブルやEtherConケーブルは別途オプションから追加レンタルをお願いいたします。
Q: M-48以外のREAC機器の分岐にも使用できますか?
A: はい、使用可能です。S-1608やS-4000Sなどのデジタルスネークの音声信号を分岐させ、メイン卓とモニター卓、あるいはレコーディング機器へ別々にルーティングするためのスプリッターとして機能します。
Q: Yamaha SWP1シリーズ等のネットワークスイッチと比較してどう違いますか?
A: SWP1はDanteネットワークに最適化されたスイッチですが、S-4000DはREAC専用であり、音声分配に加えてM-48への専用電源供給機能(Embedded Power)を備えている点とIP設定が不要な点が最大の違いです。
Q: 最大何台のM-48パーソナルミキサーに電源を供給できますか?
A: 本機1台につき、最大8台のM-48に対してLANケーブル経由で電源と音声信号を供給できます。さらに多くのM-48を使用する場合は、S-4000Dをカスケード接続することでシステムを拡張可能です。
Q: 利用途中でレンタル期間を延長できますか?
A: はい、機材のその後の予約状況に空きがある場合に限り、マイページからレンタル期間の延長手続きが可能です。ツアーのスケジュール変更や追加公演が決定した際など柔軟に対応いたします。
Q: ライブハウス常設機材との連携など、業務用途等の具体シーンに適していますか?
A: 非常に適しています。既存のV-Mixerコンソールが導入されている会場であれば、本機を追加するだけで即座に演者用のパーソナルモニターシステムを構築でき、リハーサル時間の短縮に貢献します。
PAエンジニア (40代 男性) / 圧倒的な設営スピードの向上。ただし重量には注意 : 評価 ★★★★☆ 4.5
音響専門誌のレビュー記事から参照。M-48を5台導入したアリーナツアーで使用しました。各奏者の足元にACアダプターを這わせる必要がなくなり、LANケーブル1本で済むためステージ転換が劇的に早くなりました。ただ、2Uサイズで4.2kgと単体のハブとしては重くかさばるため、小規模な現場での持ち運びにはややオーバースペックに感じます。
教会サウンドディレクター (50代 男性) / 専門知識不要で助かるが、REAC縛りがある : 評価 ★★★★☆ 4.0
機材フォーラムの投稿より。ボランティアスタッフでもIPアドレスなどのITネットワーク設定を一切気にせず、ケーブルを挿すだけで音が出たのは感動的でした。システムの安定性は抜群ですが、ローランドのREAC規格専用機であるため、将来的に他社のDante機器を導入しようとした際の拡張性には制限がある点を理解して使う必要があります。
レコーディングエンジニア (30代 女性) / クリーンな信号分岐。ファンの音は要確認 : 評価 ★★★★★ 4.8
機材販売サイトの購入者レビューより。ライブ録音の現場で、PA卓とDAWへの信号分岐用スプリッターとして導入。アナログ分岐のような音痩せやノイズ混入がなく、非常にクリアなパラレル録音が可能です。大容量の電源を積んでいるためか、静かなスタジオ内にラックを裸で置くと冷却ファンの音が少し気になるので、マシンルームへの設置をおすすめします。
REACポート: RJ-45 EtherConタイプ×10(うち8ポートはREAC Embedded Power対応)
インジケーター: REAC POWER×8、LINK×10、ACT×10、POWER×1
電源: AC115V、AC117V、AC220V、AC230V、AC240V(50/60Hz)
消費電力: 170W(REAC Embedded Power最大出力時)
外形寸法: 482 (W) × 285 (D) × 88 (H) mm(EIA-2Uラックマウントサイズ)
質量: 4.2 kg
動作温度範囲: 0〜40℃
防水性能: 非対応(屋内仕様)
付属品: 電源コード、取扱説明書(※レンタル品の場合は要確認)
ローランドは、小型ビデオスイッチャーのロングセラー「V-1シリーズ」の新モデル「V-1-4K」を2026年4月9日に発表した。同シリーズで初めての4K対応機種となる。発売日は 2026年6月25日、価格はオープンプライス。
近年、カメラやPC、ディスプレイなどで4K対応が進む一方で、4K対応のスイッチャーは大型で高額な製品が多く、小規模イベントやライブ配信、企業セミナーなどで手軽に使える製品がなかった。そんな状況を打ち破ってくれそうな可能性を感じる新製品だが、今回PRONEWSでは発表前にレビューの機会を得られた。早速、V-1-4Kを詳しく見ていこう。