いつもパンダスタジオレンタルをご利用いただき、ありがとうございます。自称「三脚ソムリエ」のスタッフSです。
最近はビデオカメラだけでなく、キヤノンEOSシリーズをはじめとする一眼レフカメラや、SONY αシリーズやコンパクトシネマカメラのFX3やFX6、PanasonicルミックスGシリーズといったミラーレスデジカメ等でも動画撮影される方が増えてきておりますので、動画用三脚に関してもしっかり説明をしたく考えております。
前回は動画用三脚と写真用三脚の違いに関して概要を説明いたしました。
今回は動画用三脚の仕様の見方に関して説明させていただきます。メーカーとしては知っていて当たり前だとは思うのですが、実際に三脚メーカーのページで用語の解説はなかなか見ないので、あえてブログにしてみました。
例として、日本では老舗のメーカーであるLibec(リーベック)の三脚システム「NX-100C」を例に出したく思います。
NX-100Cのスペックは以下の通り。(メーカーページ参照)
Libec NX-100C グランドスプレッダー 仕様
この記事の内容
- 0.1 Libec NX-100C グランドスプレッダー 仕様
- 0.1.1 耐荷重域:0 ~ 2.5kg(C.G.55mm)
- 0.1.2 最大搭載重量:4kg
- 0.1.3 カウンターバランス方式:段階式
- 0.1.4 カウンターバランス:カウンターバランス切替0+5段階
- 0.1.5 パンドラグ切替:0+3段階
- 0.1.6 ティルトドラグ切替:0+3段階
- 0.1.7 ドラグ機構:金属積層ユニット
- 0.1.8 ティルト角度+90° / -70°
- 0.1.9 使用可能温度:-40°C ~ +60°C
- 0.1.10 水準器:LED照明付き
- 0.1.11 カメラプレート:スライドプレートManfrotto / Sachtler互換
- 0.1.12 カメラプレート移動幅+/-30mm
- 0.1.13 カメラ取付:1/4″ ネジ+ビデオボス
- 0.1.14 アクセサリーポート:1/4″ ネジ穴及び 3/8″ネジ 穴各1個
- 0.1.15 予備ネジ:1/4″ ネジ及び 3/8″ ネジ 各1個
- 0.1.16 重量:4.1kg
- 0.1.17 高さ:53~168cm
- 0.1.18 ボール径:75mm
- 0.1.19 パイプ材質:カーボン
- 0.1.20 三脚段数:3段
- 1 次回のお知らせ
- 2 【バックナンバー】映像関連の解説シリーズ
- 3 今回のブログに関係する機材一覧
耐荷重域 | 0 ~ 2.5kg(C.G.55mm) |
最大搭載重量 | 4kg |
カウンターバランス方式 | 段階式カウンターバランス |
カウンターバランス切替 | 0+5段階 |
パンドラグ切替 | 0+3段階 |
ティルトドラグ切替 | 0+3段階 |
ドラグ機構 | 金属積層ユニット |
ティルト角度 | +90° / -70° |
使用可能温度 | -40°C ~ +60°C |
水準器 | LED照明付き |
カメラプレート | スライドプレート |
Manfrotto / Sachtler互換 | |
カメラプレート移動幅 | +/-30mm |
カメラ取付 | 1/4″ ネジ+ビデオボス |
アクセサリーポート | 1/4″ ネジ穴及び 3/8″ ネジ 穴各1個 |
予備ネジ | 1/4″ ネジ及び 3/8″ ネジ 各1個 |
重量 | 4.1kg |
高さ | 53~168cm |
ボール径 | 75mm |
パイプ材質 | カーボン |
三脚段数 | 3段 |
それぞれの用語を説明します。
耐荷重域:0 ~ 2.5kg(C.G.55mm)
重心高が55mmの時、0-2.5kgまでのカメラシステムを支えることができます。重心高が55mmという高さは一般的なミラーレスデジカメや一眼レフカメラの高さを想定しています。重心高が高くなれば、重心が高くなるので、載せられるカメラシステムの重量が少なくなります。
最大搭載重量:4kg
数字の通りとなりますが、4㎏までのカメラシステムを搭載可能です。ただし、ここでの数字は、あくまで搭載できるという意味なので、4㎏のカメラシステムで、ズーム状態でヘッドを動かすようなシビアさが要求される撮影には向いておりません。あくまで耐荷重域の範囲内のカメラシステムで運用いただければ幸いです。
カウンターバランス方式:段階式
動画用三脚のヘッドのカウンターバランスの表記は「段階式」「無段階式」「固定」の3つに分かれます。エントリーモデルは「固定」となり、カウンターバランスの変更はできません。「段階式」はモデルにより段数が多くなったり少なくなったりします。「無段階式」は指定された荷重範囲内であればパーフェクトにバランスが取れますが、段階式に比べると荷重範囲が狭いです。ただ、そのスムーズさは「段階式」をはるかに凌駕します。
カウンターバランス:カウンターバランス切替0+5段階
カウンダーバランスの段数が0~5段で取れるということです。多い方がカウンターバランスを取りやすいです。(そのぶん、高価になります。)高価なものだとこの段階数が10段以上になったりします。
パンドラグ切替:0+3段階
パン(横方向の動き)のトルク切り替えが0~3段で調整が可能です。数字が少ないほど粘りが少ないです。ズーム時は被写体を追うのが難しくなるので、トルクの段階を上げて粘りを強くして運用するケースが多いです。
ティルトドラグ切替:0+3段階
ティルト(縦方向の動き)のトルク切り替えが0~3段で調整が可能です。数字が少ないほど粘りが少ないです。ズーム時は被写体を追うのが難しくなるので、トルクの段階を上げて粘りを強くして運用するケースが多いです。
ドラグ機構:金属積層ユニット
主に樹脂ユニットと金属ユニットの2種類があります。樹脂ユニットは筐体を軽くできますが、耐久性、メンテナンス性が金属ユニットに劣ります。反対に、金属積層ユニットは重量が重くなりますが、耐久性、メンテナンス性がよくなり、ヘッドの動きもより安定いたします。Libecさんはこちらを採用しているようですね。
ティルト角度+90° / -70°
ビデオヘッドを前に倒した場合と、後ろに倒した場合の可動範囲になります。この表記だと、前に90度、後ろは70度まで可動します。
使用可能温度:-40°C ~ +60°C
数字の通りです。-40°C ~ +60°Cの範囲であれば可動保障があります。
水準器:LED照明付き
ホールなどの周り暗いところでは水準器が見にくいので、LEDが付いているとわかりやすいです。
カメラプレート:スライドプレートManfrotto / Sachtler互換
他社互換プレートですので、Manfrotto社 / Sachtler社のビデオ三脚にそのまま利用できます。また、電動ジンバル(TH-G3)や一脚システム(TH-M KIT)などにも使用可能です。スライドプレートの種類を意識せず付け替えが可能なのは、いろいろな種類のカメラサポート機材を所持している人にとっては大きなメリットになると思います。
カメラプレート移動幅+/-30mm
カメラプレートの移動幅が前30mm, 後ろ30mmで動くということです(トータル移動幅60mm)。この値が大きければ大きいほど、カメラの前後バランスが取りやすくなります。
カメラ取付:1/4″ ネジ+ビデオボス
カメラとプレートの取り付け方法になります。一般的なデジカメの底面は1/4インチですので、そのまま取り付けられます。ビデオボスというのは、ビデオカメラの底面に空いている回転防止の穴にささるピンとなります。Libecさんのビデオボスは押すとへこみます。ですので、ミラーレスカメラや一眼レフカメラにはビデオボス用の穴はございませんので、邪魔になりません。
アクセサリーポート:1/4″ ネジ穴及び 3/8″ネジ 穴各1個
本体側面にアクセサリーアーム等を取り付けられるようになっています。また、LibecのNXシリーズのアクセサリーポートの設置位置は、ティルトバランスに影響を及ぼさない絶妙な位置なので、外部モニターやLED照明などを追加しても、カメラバランスに影響なくご利用いただけます。
予備ネジ:1/4″ ネジ及び 3/8″ ネジ 各1個
スライドプレートをずらすと中に埋め込みねじが2本ついております。カメラとスライドプレートの固定が一か所では不安な場合は、こちらをご利用ください。2か所で固定すると大幅に固定力を増加させることが可能です。
重量:4.1kg
三脚自体の重量となります。NX-100Cの重量は4.1kgです。これは段階式のカウンターバランス調整機構を持つ三脚では世界最軽量クラスのようです。
高さ:53~168cm
三脚をもっとも低い位置ともっとも高い位置で設置した時の高さになります。
ボール径:75mm
ビデオヘッドをビデオ三脚に接続するときの規格になります。主に60/75/100/150mmの4つに分かれます。同じボール径であれば、基本的には他社のビデオ三脚にも取り付けることが可能です。(物理的に干渉する場合を除く)
パイプ材質:カーボン
動画用三脚の仕様表に記載されるパイプの材質は、基本的に「アルミ」か「カーボン」のどちらかになります。「アルミ」は割れにくい、コストが安いが重量がカーボンに比べて重くなる傾向があり、「カーボン」はアルミと比べると割れやすい、コストが高いというデメリットはあるものの、重量を軽くすることが可能です。NX-100Cはカーボン脚を採用しています。
三脚段数:3段
文字通り、三脚の段数です。三脚の長さが調整できる箇所が各脚ごとに3か所ずつあるということです。
次回のお知らせ
さて、次回はエントリーモデルの比較を行う予定です。よろしくおねがいします。
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