アナモルフィックレンズ( anamorphic lens)は、映画フィルムでワイドスクリーンを撮影・再生するための特殊なレンズ。アナモフィックレンズ、円柱レンズともいいます。
カメラに取り付けられたアナモルフィックレンズはワイドスクリーンの幅の映像をほぼ半分のサイズに圧縮・縮小し、標準的な35mmフィルムのフレームにフィットさせる。この時のフィルムの画像は縦長になっている。取り付けられたアナモルフィックレンズは圧縮していたものを、元のサイズに戻して拡大し(スタンダードの画面サイズ縦横比1:1.33に代わる1:2.35のアスペクト比をもった)ワイドスクリーン映像として映写する。
現在では、アナモルフィックレンズで撮影し、ポストプロダクションで横方向を引き伸ばすことで、シネマスコープのアスペクト比の映像を得ていたが、アナモルフィックレンズ対応のデジタルシネマカメラの登場により、撮影時にアスペクト比(縦横比)を修正して収録をすることができる。特殊なレンズの特性上、画面左右には歪曲収差が出る。また、被写界深度が浅くなりやすく、強い光源に対しては独特の形のレンズフレアが得られる。
アナモルフィックレンズは、映画や映像制作においてワイドスクリーン(シネマスコープ)映像を撮影するために開発された特殊なレンズです。このレンズは、画面の横方向を1/2に圧縮して結像し、ポストプロセスや映写時にこれを2倍に戻すことで、横長の映像(アスペクト比2.39:1)を実現します。
アナモルフィックレンズの特徴
圧縮と復元: アナモルフィックレンズは、横方向の画像を圧縮して記録し、後処理で元の比率に戻すことで、画素を無駄にせずにワイドスクリーン映像を生成します。
シネマスコープ映像: アスペクト比2.39:1のシネマスコープ映像を撮影するために設計されており、1950年代から多くの名作映画で使用されてきました。
光学特性: アナモルフィックレンは、水平フレアや楕円形のボケといった独特の視覚効果を生み出し、映画的な雰囲気を演出します。
アナモルフィックレンズの利点
画質の向上: 通常のレンズで撮影した素材からシネマスコープ映像を得る場合、上下をトリミングする必要があり、画素の多くを捨ててしまいます。アナモルフィックレンズを使用することで、画素を無駄にせずに高解像度の映像を生成できます。
センサーの有効活用: 4:3フォーマットのカメラセンサーと組み合わせることで、ワイドスクリーン映像を効率的に撮影できます。
アナモルフィックレンズの使用例
アナモルフィックレンは、映画やミュージックビデオ、広告映像などで広く使用されており、特に劇場用の高品質な映像制作に適しています。また、デジタルカメラやモバイルデバイス用のアナモルフィックレンズも開発され、幅広いクリエイターが利用できるようになっています。アナモルフィックレンズは、その独特の光学特性とワイドスクリーン映像の表現力から、映像制作において重要なツールとして位置づけられています。
アナモリフィックレンズのレンタルカテゴリー
アナモリフィックレンズに最適なカメラ・ビデオカメラ
アナモルフィックレンズを使用する際、適したカメラを選ぶことが重要です。以下は、アナモルフィックレンズとの相性が良いカメラの例とその理由です。
Panasonic Lumixシリーズ
- GH5 / GH5S: アナモルフィックレンズ用の設定が搭載されており、ライブビュー画面で縦横比の補正が可能です。また、4:3センサーモードをサポートしており、アナモルフィック撮影に最適です。
- S1H: フルフレームセンサーを搭載し、高品質な映像を提供します。SIRUIのアナモルフィックレンズとの組み合わせで、シネマティックな映像を撮影できます。
Canon EOSシリーズ
- EOS R5 / EOS R6: これらのカメラは、SIRUIのアナモルフィックレンズと互換性があり、高解像度の映像を撮影できます。特にR5Cは、アナモルフィック・ディスクイーズ機能を搭載し、シネマティックな映像制作に適しています。
Blackmagic Designシリーズ
- Pocket Cinema Camera 4K: 4:3センサーモードをサポートし、アナモルフィックレンズとの組み合わせで高品質な映像を撮影できます。外部モニターを使用することで、より柔軟な撮影が可能です。
Z CAMシリーズ
- E2: 4:3センサーモードを搭載し、アナモルフィックレンズとの組み合わせでシネマスコープ映像を撮影できます。小型ながら高性能なカメラです。
REDシリーズ
- KOMODO 6K: 高解像度の映像を提供し、アナモルフィックレンズとの組み合わせでプロフェッショナルな映像制作が可能です。特に大型カメラとの相性が良いです。
Sonyシリーズ
- FX3: フルフレームセンサーを搭載し、SIRUIのアナモルフィックレンズと組み合わせることで、シネマティックな映像を撮影できます。特に低照度環境での性能が優れています。
これらのカメラは、アナモルフィックレンズの特性を活かし、シネマティックな映像を撮影するのに適しています。カメラのセンサーサイズや機能を考慮し、撮影スタイルに合ったモデルを選ぶことが重要です。
アナモリフィックレンズに最適なBlackmagic Designのカメラ
アナモルフィックレンズに対応したBlackmagic Designのカメラは、以下のモデルが特に推奨されます。
- Blackmagic PYXIS 6K
特徴: フルフレームセンサーを搭載し、6K解像度での撮影が可能です。アナモルフィックレンズを使用した4.8K(4832 x 4032)での真の6:5アナモルフィック撮影をサポートしています。
利点: 低照度環境での撮影にも適しており、高品質な映像を提供します。 - Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro
特徴: スーパー35センサーを搭載し、6K解像度(6144 x 3456)での撮影が可能です。アナモルフィックレンズを使用した撮影に適しており、6:5アナモルフィックモードをサポートしています。
利点: 浅い被写界深度やシネマティックな映像を実現し、高解像度でノイズの少ない映像を提供します。 - Blackmagic Cinema Camera 6K
特徴: フルフレームセンサーを搭載し、ネイティブ解像度6048 x 4032での撮影が可能です。アナモルフィックレンズを使用した真の6:5アナモルフィック撮影をサポートし、高解像度のシネマティックな映像を提供します。
利点: オープンゲート3:2やフルハイト6:5アナモルフィックに対応し、ポストプロダクションでの柔軟性が高いです。 - Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
特徴: 4/3センサーを搭載し、4096 x 2160解像度での撮影が可能です。アナモルフィックレンズを使用した撮影にも対応しており、MFTレンズマウントを通じて柔軟なレンズ選択が可能です。
利点: 小型で携帯性が高く、低予算での映像制作に適しています。
これらのカメラは、アナモルフィックレンズの特性を活かし、シネマティックな映像を撮影するのに適しています。特に6K ProやCinema Camera 6Kは、高解像度と柔軟な撮影オプションを提供し、プロフェッショナルな映像制作に最適です。